エクシア合同会社の怪しさとは?

資金集めを合同会社の社員権でやる意味

エクシア合同会社が怪しまれる一つの理由に、合同会社で社員権を販売して資金を募る行為がある。

この合同会社の社員権募集について、ここで触れていく。

不特定多数からの投資を募るには、金融免許が必要なのは言うまでもない。

ところがエクシアは5000人以上の顧客から300億以上集めているが、金融免許を保有していない。

これは一体どういうことだろうか。

この問いの答えは、エクシアの合同会社という法人格にある。エクシア合同会社は株式会社ではないので株は発行していない。かわりに合同会社の社員権を販売し、投資家はそれを購入することでエクシア合同会社に投資をすることになる。

社員権を購入するからと言って、エクシアの一般社員になるわけではない。あくまで形式上、社員になる、という立てつけなのだ。

中身は株主・投資家と何も変わらない。株式出資と違うのは、合同会社に関しては、定款で定めた者が会社の実権を握ることになり、株式会社と違い、出資額に応じて発言権が増すものではない。

合同会社において1万円出資しているAと、1000万円出資しているBがいても、定款上代表社員をAと定めれば、BはAの決定に逆らえなくなる。出資額と会社における発言力が比例していない点が合同会社の特徴といえる。

合同会社で出資を募るようになった背景

2000年初頭、当局に簡単な届け出さえすれば誰でもファンド組成が可能だった。

しかしそれに気づいた悪知恵の働く者が、この仕組みを悪用、詐欺が横行したため、これ以降ファンド組成はどんどん厳格化していく。

それでも「プロ向け」として「特例機関投資家等特例業務」という簡易的な届け出だけでファンドが組成できるやり方があった。これを援用することで、事実上ファンド運営は誰でもが可能だった。

2016年、これが厳格化。

参加する一般投資家の資産が3億円以上と決められ、ヘッジファンドなど独立系の主体が「一般の個人投資家」相手にファンド組成できる道筋は絶たれてしまったのだ。

このことで、本当に一般の投資家がヘッジファンドなど凝った投資手法の運用会社に投資する方法自体が日本でなくなってしまった。

しかしその後に、合同会社をファンド的に援用しようというアイデアが生まれる。

当時一般投資家は、合同会社の社員権という聞きなれない単語を聞いて、投資家は「社員にならないといけないのか?」と憤慨した。説明は話した通りなので割愛するとして、簡単にファンド組成できるような要件がなくなったことにより、本来の趣旨としては想定していなかった合同会社のファンド利用が巷で始まったのだ。

ところが、人からお金を集めて持ち逃げを考える者や、最初から計画倒産を試みるものはいつの時代も存在する。

合同会社がファンド的に利用できると気づいた悪者は、かつてと同じように合同会社を使って暗躍する。そのため、消費者庁では注意喚起をすることになる。

しかし合同会社そのもののスキームは脱法的でも非合法でもない。ただ世間的見ても、あいまいな印象が合同会社を用いた出資募集には、ある。

2020年、この合同会社で資金調達する行為に対して、一石を投じるような事案が生じた。

それが合同会社GPJベンチャーキャピタル事件だ。

証券取引等監査委員会という国の機関が、エクシア合同会社と同じスキームで社員権を販売して(自己募集して)投資を募っていた合同会社GPJベンチャーキャピタルに、金融商品取引法違反だとして、募集の停止を裁判所に求めたのだ。

申し立て内容は以下、金融庁HPより引用した。

1.申立ての内容等
証券取引等監視委員会が、合同会社GPJベンチャーキャピタル(東京都中央区、法人番号7010003019930、代表社員 松橋知朗(まつはしともあき、以下「松橋」という。)、資本金8000万円、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項に基づき、東京地方裁判所に対し、当社並びに当社の代表社員である松橋及び当社の専務執行役員であり営業全般の総括責任者である渡邉貴文(以下「渡邉」といい、当社並びに松橋及び渡邉を併せて「当社ら」という。)を被申立人として、金商法違反行為(無登録で、金商法第2条第2項3号又は第5号若しくは第6号に掲げる権利について、募集又は私募の取扱いを業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。令和2年3月13日

結論から言うと、裁判所は金融商品じゃないから訴えは無効とした。そのことで、証券取引等監視委員会が申し立てを取り下げたのだった。

証券取引等監視委員会は9月にも、自分たちは申し立ての一部を取りやめたが、だからといって「社員権の取得勧誘が金融商品取引法違反に当たらないことを保証するものではなく、又、当該合同会社の社員権について何らの保証も与えるものではない。(原文ママ)」

との発表をしている。

しかし世間の印象としては、「社員権による取得勧誘は合法である」と、裁判所がお墨付きを与えたということになるだろう。

合同会社は法解釈上ファンド組成するためにできたものではないが、現状合同会社がなくなってしまったら、簡単にファンド組成はできなくなってしまう。

となると、一般投資家が投資をする対象は投資信託くらいしかなくなってしまい、つまらない金融商品だけになってしまう。

合同会社があるからこそ、エクシアが生まれたのだ。

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