エクシア合同会社が企業買収を進める
エクシア合同会社の事業は「投/融資」ということで、集めた金で他の企業に投資したり、融資したりする、という立てつけになっている。
エクシア合同会社を知った最初のうちは、エクシア本体ではなく、代表の菊地翔氏が代表を兼ねる別会社・シンガポール法人にお金を投げ、そこでFX運用していると聞き、かなりやんちゃな匂いがした。
この構造が法的に問題がないのか、私は素人でわからないが、事実ベースで突っ込まれれば自己運用のファンドじゃないか、と言い逃れができないのではないかと思った事がある。
ただそんな私の心配をよそに、エクシア合同会社は快進撃を続け、人が増え資金が増えた。
2020年に入ってエクシア合同会社はさらに躍進。むしろ目立ちすぎたのか、エクシア合同会社は帳尻を合わせに走ったように見えた。
投/融資がメインの事業なのに、そもそも取得していなかった点は開いた口がふさがらないが、貸金業の登録をいまさらながら済ませた。
次にしたアクションは、太陽光を売っていた金融2種免許を保有する企業の買収。名前を変更してエクシア・アセット・マネジメント株式会社とした。
社員権を自己募集で販売してきたが、これからはこの金融2種の会社で社員権を完全に合法に(今までも適法だが)販売していこうという意図だろう。
しかし今のところ、エクシア・アセット・マネジメント社がエクシア合同会社の社員権を販売しているような声は聞こえてこないので、関係当局と調整中なのかもしれない。
LastRoots社を子会社
2020年のエクシア合同会社はさらに一味違った。
ここからさらに、「誰も使っていない国産仮想通貨c0ban」を発行しているLastRoots社を買ったのだ。
LastRoots社は仮想通貨交換業の免許をもっており、日本国内で数少ない仮想通貨の売買を業として営むことができる企業だ。
ビットフライヤーやコインチェックに比べれば知名度は圧倒的にないが、それでも国内における希少価値は高い。
元々LastRoots社は紆余曲折を経て上場企業(といっても名古屋取引所)オウケイウェブが大株主として入っていた。
そのオウケイウェブの株式を全株取得することで、エクシア合同会社が株式会社LastRoots社の大株主になった。
毎月配当を呼び水として、資金が集まりすぎたのか、2020年はかなりアグレッシブなM&Aを繰り広げた。
オウケイウェブのHPに行けば、この点についてIRが出ている。
読み込むと、ざっくり言えばこうだ。
「この会社(LastRoots社)は毎年赤字で割りがあわん、うちもそこまで体力があるわけじゃないから売り飛ばした」
オウケイウェイヴは保有率は91.46%だったので、完全にエクシアの会社になったと言える。
ここでIRに従い、LastRoots社社の業績を振り返ってみよう。
直近2年間は4億円ずつ赤字、2018年、ビットコインのフィーバーに沸いたこのときだけが唯一4億円の利益を出した。
大きな買い物をしたかと心配になるが、これを執筆している2020年12月現在、ビットコインは再び過去最高値を更新。
こちらの業界も息を吹き返している。
その意味ではまたLastRoots社は利益を生み始めるのかもしれない。
恐るべき嗅覚、菊地翔。さすがマーケットの魔術師、FXトレーダーの菊地翔氏のなせるわざなのかもしれない。
オウケイウェブのIRからエクシア合同会社の実態が明らかに
なおこのIRにはエクシアは売上についても表記がある。
現在出資総額350億といいつつも、2019年12月時点の資本金は100万円。
このあたり筆者も専門家でないので何とも言えないが、資本金準備金としてお金を置いているのだろう。
こちらも過去3年間の決算を見てみると毎年きっちり黒字。そして当然ながら総資産が爆発的に伸びている。
加えて純資産も伸びていて、売り上げは
2019年に24億
2018年は4億5000万
2017年は1億7000万円
2019年12月で大きく出資がふえ、売上が伸びたと理解すればよさそうだ。
一方当期純利益だが、
2019年は4500万円
2018年は1億3000万
2017年は18万円
決算書はあくまで、12月時点で、エクシアのお金がどうなっているか、しかわからない。
個人投資家から集めたお金を外部に投資したり融資したりする会社である以上、決算の数字をそれなりにコントロールできる可能性が高い。
なので利益が出ていても、逆に損失があっても、外の会社の帳簿につけておけばエクシア合同会社自体の数字はお化粧ができる。
決算だけでは実態を暴くことは不可能なのだ
投資先の企業の財務内容や、そもそも投資先にいくら流れているのかなど、全体像を理解するには投融資先の財務内容の開示が必須となる。
いちいちオウケイウェブがLastRoots社の株式をいくらで当時買ったのかまでは確認していないが、この譲渡により、8万6700株を2億2600万円で購入し、あらたに新株増資で5億円を入れ込んだ、ということが分かった。
エクシア合同会社がポンジースキームを用いた金集め組織であるならばここまでやる必要がないだろう、というのは安易すぎるだろうか。
Twitterを見ると結構エクシア合同会社信者も多い。逆に、あからさまに詐欺、100パーセントあり得ない、と言ってる人もかなり見つけることできる。
筆者はエクシアを卒業した身なので、見解を控えたい。
ただ、この先エクシア合同会社が有名になればなるほど中身についても語られるはず。
お金が増えますよというビジネスは得てしてバッドエンドが多いが、この「エクシア号」という船から既に降りた身としては、高みの見物と行きたい。